褒められたい
- IzumiTakiguchi
- 2018年9月5日
- 読了時間: 5分

赤ちゃんと徐々にコネクションを持ち始めた私。
それでもまだ
100%コネクションしているという感覚がなく
可愛いものを見て可愛いと言う感じと似ていて
愛おしいとは違う感じだった。
ある晩、赤ちゃんが静かに寝静まったとき
アンドリューがベッドで言った。
『今、どれぐらい赤ちゃんとのコネクション感じる?』
『うーん、70%ぐらいかな?』
『Oh Really ?』
『ねえ、グレイシーが来た時に、出産時の話を聞いたじゃない?
その時、私ね、言い訳がましく、
”褒められたい訳じゃないんだけど”って前置きしたのよ。
でも、私ね、凄く褒められたいんだと思う。
出産なんて、多くの女性がしているから、褒められるに値した事じゃないって
思われるかもしれない。
だけど、私、褒められたい。
今日ね、親友の由佳が”いず美、本当にがんばったね。エラかったね”ッて言ったの。
私ね、それ聞いて、泣けてきたんだよ。
そしてね、ずっと妊娠期を支えてくれたせいちゃんにも
”お疲れさま!よく頑張ったね。母乳が出るご飯作りにいくからね”って。
そんなメッセージをもらってさ
それを読んで、また泣いちゃったんだ。
自己承認欲求? なんてダサイって思っていた。
でも、今、私、それが凄く欲しいの。
褒められる為に出産をした訳じゃない。
でも、おめでとうと言ってもらえるのと同じぐらい、
でも違う次元で「本当に頑張ったね」って言って欲しいんだ。』
すると、アンドリューが言った。
『僕の女性性を呼びだそうか?』
『うん。アンドリューのおばさんサイド(女性性)を呼んできて』
『ちょっと待ってて』
そう言って、彼が眼を閉じて、すぅーっと一息大きく深呼吸した。
そして、ゆっくりと眼を開けて、優しいまなざしで言った。
『いず美、、、、
一緒にあの部屋にいて、全部を見ていてね、本当に素晴らしい行程だったよ。
全部が神聖で、全部が畏敬の念で一杯になる瞬間の連続だった。
それを一番近くでみれた事を誇りに思う。
赤ちゃんが出て来る少し前にポーラが言ったんだ。
’お父さんになる準備はできている?’って。
僕はねこう答えたんだ。、
”いず美がこれ以上しんどい想いをするのが止まる準備の方が出来ている”って。
それぐらい大変な行程だったけど、本当によく頑張ったね。』
アンドリューおばさん!!!!!
涙、涙、涙
出産の行程はいつも赤ちゃんが主役だ。
かつて、産婦人科医だった女性が
「私が赤ちゃんを取り上げてた時は
いかにスピーディーに何分で帝王切開が出来るかって言う事に意識が一番にあって、
産婦さんの事なんて考えてなかったです。
時間を競ってたという方が正しいかも。早いほど能力があるみたいな。
それが当たり前だったし、疑問にもしなかったです。
今考えると、
お腹を切られたお母さんにもっとケアをしてあげれば良かったなって。」
と教えてくれたことがあった。
きっと、出産なんてみんなしているんだから、
赤ちゃんと母体が健康だったからよかった。
と、そうやって母体がどれだけのカラダのリスクを背負っているかに
フォーカスは当てずに、
生まれて良かった良かった、となっている。
10ヶ月の妊娠も、予想も出来ないほどの痛みの陣痛も、
そして、3000グラムが出てくるために
骨盤を開き、
全身の筋肉を使い、
おマンタさんを切れてまでも全開にして、
自分のカラダを全部赤ちゃんを産むために変化させる母体と言うのを
経験して初めて知った。
産後は全治8ヶ月の怪我と同じなんだってと
マタニティヨガを学んだ友人が教えてくれた。
こうやって、いたわってもらう言葉ももらわないまま
そんなのみんなやっているんだから、、、と
次の育児に突入していくお母さんは多いのではないだろうか?
人に承認してもらって、
初めて私ってすごいこと、頑張ったんだよねって
気づく事がある。
人に承認してもらって、
初めて自分がどれだけのことをしたのかに
気づく事がある。
そして、
単に人に承認してもらって、
初めて分かってもらえて嬉しくてホッとする事がある。
そして、
人に承認してもらって
初めて自分を愛おしく思える事がある。
聖なる儀式の時、親友のジュリーが何度も私に言った。
「sisterhood/ motherhoodをこれから経験していくわよ」と。
その時の私には意味が分からなかった。
Sisterhood? Motherhood?
それって、仲良しのママ友ぐらいの感覚だった。
でも出産して感じたsisterhood/ motherhood。
それは、その後、私の体調が回復して来ると、
友人達がそれぞれご飯やお土産を持って訪れてくれた。
すでに母である友人達は訪れると必ず、私の顔を見て口々に言った。
「よく頑張ったね。」って。
「エラかった。」って。
玄関先で、
赤ちゃんを抱いてる私を見て、涙しながら、抱きしめて、耳元で言ってくれた。
私は、お姉さんに抱きしめられてるかの様に泣きながら【頑張ったよぅ。】と
友人達のぬくもりを体全体で感じていた。
言葉にはできない感覚レベルでの繋がり。
こんな風に女性ってつながる事って出来るんだという新しい感覚であり発見だった。
きっと、わたしの友人やクライアントさんが出産を終えたら、
私も自然と言うんだろう。
よく頑張ったねって。
こうやって、
『頑張ったね。』と言われるたびに、徐々に赤ちゃんとの距離が縮まっていく。
自己愛がまずあって、そこから他者愛に広がるとはよく言ったものだ。
母に電話していった。
『出産して本当に思ったよ。こんなに出産が大変だなんてさ。
お母さん、産んでくれてありがとう。』
ちょっとセンチメンタルな気持ちで、彼女に照れながらも伝えた。
すると母が言った。
『いや、アンタの時はさ、もう慣れていたんだか、
あ、うんこかなと思ったら、あんただったのよ。
だから、そんなに大変じゃなかったわ。』
そうだった、そうだった。
なまじっか、彼女はすぐに感情を表現するタイプではなかった。。。。
この温度差に戸惑いながらも、
もし私が2人目を授かれたら、母が言ったような経験になれるのかな?
と希望を持つのであった。
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