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過伸展の女性

彼女は映画界でバンバン働く女性だ。

彼女の映画が毎年ノミネートされている。

彼女の名前がエンディングロールに出ることがない。

それぐらいトップだから。

そして、アメリカで力を持つ50人の女性という一人にこの間は選ばれていた。

だからと言って、彼女自身が驕り高ぶる風は全くなかった。

そんな彼女が私はとても好きだった。

そして、そんな彼女から『いず美からピラティスを学びたい』と言われる事を

とても嬉しく思っていた。

彼女のあり方から、私はたくさんのことを学べたから。

彼女の人に対するコメントの言い方だったり、

彼女の行動に対する裏の考え方だったり。

人として私は彼女のことをとても尊敬していた。

ただ一つだけ気になることがあった。

彼女の膝も腕も過伸展することだった。

過伸展とは、関節が必要以上に反ってしまうことで、「ハイパーエクステンション」ともいわれる。

(*ヨガジャーナルオンラインからお借りしました)

ほとんどの人が、

『過伸展は体重がかかることで関節や靱帯に負担がかかり、

 痛みや故障を招くため危険』

という点に注目するのだが、

私の場合は、過伸展をしていると、本来ワークしたい筋肉が使えないということが問題だと思っている。

彼女の場合は、過伸展をすることで、お尻もお腹も力が入っていない。

タルンタルンで、『もう嫌になっちゃう』ってよく言ってた。

何度も何度も根気強く、私が膝も肘も過伸展させないように指導していたある日、

彼女自身がようやく腹筋に力が入った状態になった瞬間があった。

それは、プランクポジション(腕立て伏せのポーズ)でのことだった。

そのポジションから、機械を動かそうとすると、どうしても手を使いたくなる。

しかも、関節で動かしたくなる。

それを私はさせなかった。

すると、腹筋上部を使わないといけなくなるのだ。

そこにフゥと力が入った瞬間、彼女の体が力強くコネクトして動き始めた。

『やった!!!』と思った時、彼女の膝が崩れて、マシンに落ちた。

そして、彼女は泣き始めたのだった。

私のピラティスのセッションで、クライアントさんが泣くことはよくあることだ。

ただただじっと、その人のプロセスが終わるまで、私は待った。

それでも、

泣くよりも笑うことを選択する強い彼女が、泣いているのに、私はビックリしたのも事実だった。

人は、自分の奥深いところに触れると泣けてくる。

何が起きたのだろうか。。。。

そして、數分が経ち、彼女が顔を上げた。

幼い少女のような表情だった。

『Are you OK?』

そう聞くと彼女が微笑みを浮かべて言った。

『本当の私の芯はこんなにも弱かったのね。

 すごく今まで頑張ってきた自分は、この弱さを打ち消すためにいたのかと感じたの』と。

少しして、私は答えた。

『芯は強いの。私はあなたのことをすごく尊敬してる。

 だけど、その芯にアクセスすることをしてこなかっただけ。

 それよりも、外へパフォーマンスすることの方に意識が向いていただけよ。

 ようやく、繋がれたから、きっとあなたのあり方はもっと力強く

 変わってくると思う。』

そういうと、彼女はホッとした様子だった。

ピラティスを教える中で、過伸展をする女性を今までたくさん見てきた。

たいていの場合は、柔軟性がとてもある。

だから、いろんな人やいろんな物事に対処できてしまう。

そして、自分の域を超えたところで、達成感をようやく感じるようになってしまう。

過伸展自体が、自分の本来の可動域を超えたところでのパフォーマンスを意味するから。

そういう人は、自分がギリギリの綱渡りをしている状態で初めて、「私頑張っている!」と

ようやく感じられ、自分を認められるのだ。

自分の体を酷使しているにも関わらず、そこに気づけず、

その酷使が達成感だと勘違いしてしまう。

だから、それをさせなくさせると、本人はやっている感がしない。

怠けてていいのか、、、とすら感じる人もいたりする。

そんな状態を周りは

そこまでやらなくてもいいのにと思うか、

思いっきりあの人に任せておけば大丈夫と頼られるかのどちらかをする。

カラダは、いつもその人のあり方を示してくれる。

とても興味深い。

自分の芯にアクセスをすること。

これが私はすべての鍵だと感じている。

ヒーリングセッションでも、ピラティスのセッションでも。。。

モノクロから虹色へ

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