脳の記憶データーを改ざんする
脳みその中に入っている記憶を改ざんすることに成功しました。
人生初のギター発表会に参加したんです。
小さい頃大会や発表会はプレッシャーがあって好きじゃなかったです。
6歳にバトンの全国大会に出場した時、
私は、すごく楽しく団体競技で踊りました。
とにかく音楽に合わせて踊っているのが楽しくて
「あなたは、本当に楽しそうに踊っているから先生があなたを選んだのよ」と言われた言葉が
今でも記憶に残っています。
でも、武道館で踊った時、
審査委員の位置を間違えて、本番でごたつきました。
先生やお姉さんたちが、失敗した!という感覚と
帰りのバスの中での空気の重たさと
そこから、一度も全国大会に出られなくなったという実績と
色々なものが自分達へのガッカリ感として残りました。
そこから、楽しいよりもしっかりちゃんと完璧にやらないとって気持ちで緊張するようになりました。
間違えたらやっぱりダメだったって言う自分への失望感と恥の気持ちで一杯になりました。
あの時の武道館の感覚を何度も現実で再現するばかりでした。
習っていたピアノに対してもそうでした。
どれだけ練習しても十分ではなく、どれだけちゃんとできても十分ではなかったです。
ずっと離れてた演奏。
ずっと離れていた舞台。
上手な人だけがやるものだと思ってた楽器。
自分を表現するものは、大人になってから、なくなりました。
でも、楽しんでやることは、あの6歳の時からなくなった気がします。
楽しむよりも、完璧にやること。
楽しむよりも、恥ずかしい気持ちにならないようにやること。
楽しむよりも、実績を残すこと。
去年のクリスマスにアンドリューからギターのレッスンをプレゼントにもらいました。
なんとなく、ずっとギターを弾きたいなって思う感覚があって
アンドリューには伝えていました。
そして、いざ、レッスンをプレゼントされても
なかなか、重い腰は上がらず。
結局、アンドリューに無理やり行かされる形で、4月までレッスンは行けなかったです。
それでも初めてのレッスン…
音を鳴らした瞬間に私のお腹が震えて泣けてきて泣けてきて。
ああ、私は音を奏でるのが好きだなって思い出した瞬間でした。
上手に弾くことよりも、音楽って素敵だなって純粋に感じたんです。
そして5ヶ月経って先生にリサイタルに出ようって誘ってもらいました。
選んだのは小学生の課題曲並みのレベル。
鼻で笑われちゃうレベル。
でも出来る限り毎日練習しました。
完璧に弾くよりも、舞台で楽しみたいって思ったからです。
過去の経験と違った経験をしたかったから。
本番前、泣きそうでした。
大会前のあの時の自分がフラッシュバックしたのか、
それとも新しい自分になることに泣きそうなのか。
舞台に立って初めの音を弾いた時、変な音でした。
緊張で音が出なかった気がします。
恥という昔の感覚に引きも出されそうだったけど、
その瞬間に「違うじゃん、楽しむんじゃん!」って自分に言いました。
ビヨンビヨン、聞いたこともない弦の鳴り方に慌て
音は変だし
指ももつれて思うように動かないし。
でも、自分を恥じるよりも、音を弾けて楽しい自分と共にいようと決めていました。
いいよ、いいよ。
一つ一つに、ダメ出しするんじゃなくて、
先生の伴奏と一緒に音楽を弾くのが楽しいなあっところに心を置いておきました。
終わった後、身体中に電気が走りました.
上手だから褒められる。
できたから、認められる。
普通の人以上だから素晴らしい。
何かが特別なことができたからようやく自分を褒めるのではなく、
下手だけど。 とちったけど。 小学生レベルだけど。
でも、私はこんな私であることに拍手したいんです。
そんなクリスマスリサイタルでした。
そして、もう一つ大きかったのは
まいちゃんが「あら、いずみちゃん、わたし、観に行くよ」って言ってくれたんです。
彼女が私のことを全くジャッジせずにいてくれる友人であることは紛れもなく。
彼女のその一言に泣けてしまいました。

「まあまあだったわね」
「まあ、よくやったわよ」
「練習の時よりはできたんじゃない?」
「他の子よりも上手くできたわね」
「ま、いいでしょう」
どこで、こういう言葉を聞いてきたんだろう。
でも、いろんなところで聞いてきた、この言葉。
いつもジャッジされている感覚。
普通じゃあ許されない感覚。
その環境からも解放された瞬間でした。
でも、私は日本人の「適当なものは、お見せできない」という意気込みも好きです。
だから、日本の商品は、本当に素晴らしいし、安心できる。
どうやったら、その素晴らしい意気込みとジャッジメンタルな心を削ぎ落とすようなコメントの
真ん中が見つかるんだっろう?
そんなことを考えながら、
私の脳の中の過去のデーターを改ざんして
音楽を楽しむというデーターに書き換えた私です。
今は、ちょっと燃え尽き症候群ですので、
来年から、また頑張りたいなって思っています。
モノクロから虹色へ
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